内服の排卵誘発剤
内服の排卵誘発剤
クロミフェン(クロミッド、セロフェン)
シクロフェニル(セキソビット)
アロマターゼ阻害剤(フェマーラ、レトロゾール、アナストロゾール、アリミデックス)
月経のコントロールは、脳の視床下部→下垂体→卵巣系のホルモンとなります。
月経中はエストラジール(E2)が低いので、ゴナドトロピン(FSH/LH)を分泌して卵胞を大きくします。
卵胞が発育すると(=E2が高い)ゴナドトロピン(FSH/LH)の分泌を減らし卵胞発育はコントロールされます。
これをネガティブフィードバックとよびます。
受精が起こらない時は、月経が始まります。月経開始とE2の分泌低下が視床下部にキャッチされます。
そして、再び脳の視床下部からGn-RHが分泌されます。
つまり卵巣で卵胞を大きくするには、最終的には下垂体から
ゴナドトロピン(FSH/LH)の分泌を増やすことです。
内服の排卵誘発剤は、内因性にゴナドトロピンを出してもらう原理です。
①クロミフェン(クロミッド、セロフェン)
シクロフェニル(セキソビット)
クロミフェンの添付文章には下記が記載されています。
クロミフェンは、内因性エストロゲンのレベルが保たれている無排卵症婦人(第1度無月経)
に投与すると、間脳に作用して内因性エストロゲンと競合的に受容体と結合し、
GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)を分泌させる。
その結果、下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が分泌され、
卵巣を刺激して排卵が誘発される。
クロミフェンはエストロゲン作用と抗エストロゲン作用をかさ併せ持っています。
卵胞期初期におけるネガティブフィードバック(=E2の視床下部への抑制作用)を
遮断してFSH/LHを分泌させて卵胞を大きくして、排卵を促します。
つまりE2が出ているのに、E2がまだ低いと思わせる状態にしているということです。
副作用として、子宮内膜が薄くなり、頚管粘液が出にくくなります。
シクロフェニル(セキソピット)は、抗エストロゲン作用が無いので、子宮内膜が薄くなり、
頚管粘液が出にくいという副作用はありませんが、排卵効果はクロミフェンより弱くなります。
その為、クロミフェンを長期に服用して副作用が出た場合、
シクロフェニル(セキソピット)に変更することがあります。
②アロマターゼ阻害剤(フェマーラ、レトロゾール、アナストロゾール、アリミデックス)
フェマーラの添付文章には下記が記載されています。
レトロゾールはアロマターゼの活性を競合的に阻害することにより、
アンドロゲンからのエストロゲン生成を阻害し、乳癌の増殖を抑制する。
もともとは、乳癌の治療薬として開発ざれました。
それが不妊治療に使わるのは、エストロゲンの生成を阻害することを利用したからです。
アロマターゼについて説明いたします。
男性ホルモンも女性ホルモンも性ステロイドホルモンと呼びます。
この性ステロイドホルモンの原材料はコレステロールです。
コレステロール→黄体ホルモン→男性ホルモン→女性ホルモンとなり、
男性ホルモン→女性ホルモンの変換を行う酵素が「アロマターゼ」です。
この「アロマターゼ」を阻害するとことで女性ホルモンE2に変換できなくなります。
卵胞は大きくなっていると、ネガティブフィードバックを起こそうとしますが、
阻害により、E2が少ないとなれば、FSH/LHの分泌を促して卵胞を大きくしようとします。
①②どちらの排卵誘発剤も本来の卵胞の大きさより、E2の量が少ないと思わせて
FSH/LHの分泌を促して、卵巣を刺激して、排卵を誘発させます。